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アメリカCS修士課程への出願の記録

アメリカの大学院に進学することになったので、そこに至るまでの経緯などを記録します。進学先はUniversity of Texas at AustinのMSCSです。新型コロナの影響でどうなるかわかりませんが、頑張っていきたいと思います。

当初は直接PhDに出願することを目指していましたが、トップレベルの研究室に入れるような研究成果がなかったことと、博士まで取るか悩んでいたこともあり、結果としてMasterに絞ることにしました。しかし、MasterでもUT Austin以外の大学は全て不合格でした。CS、機械学習という倍率の高い分野で、出願時点では研究実績はほぼなかったので妥当な結果ではありますが、そのような状況でも海外進学を目指している人の参考になればと思います。

結論としては、各種試験やGPAはできるだけ確保しつつ、コネクションを作るということが大切だと思います。もちろん、研究やその他の実績があるに越したことはないのですが、日本の学生が思っている以上に海外院試においてコネクションが重要なのだろうということを自分の経験を通じて感じました。

結果

全てCSの修士にあたる課程。

  • UT Austin:合格
  • GeorgiaTech:不合格
  • University of Toronto:不合格
  • ETH Zurich:不合格
  • EPFL:不合格

学歴・海外経験

  • 小学2年〜5年:フィリピン(日本人学校)
  • 慶應義塾大学普通部、慶應義塾高等学校を経て慶應義塾大学理工学部数理科学科に進学
    • 学部1年:ケンブリッジ大学(1ヶ月間のサマースクール、語学留学)
    • 学部3年:CMU(1年間の派遣交換留学)

試験など

  • TOEFL iBT:92点(学部1年)→96点→102点(学部2年)→108点→110点(学部3年)
  • GRE:V 152 Q 169 A 4.0(学部4年)
  • GPA:3.9

参考までに、高校3年時に受けたTOEICは825点でした。内部進学で大学受験もしていないので、高校までの英語の勉強は中高での授業のみでした。小学生のころ4年間フィリピンにいたので帰国生ということになりますが、日本人学校に通っていたので英語力にはそこまで影響はなかったと思います。

GREのVerbalは低いので不合格の要因になった可能性はあります。もう少し取るべきでしたが、Verbalの勉強は本当に大変なので妥協してしまいました。(更新:コロナ以降、GREが不要になっている大学も多いです。羨ましい。ご確認ください。)

奨学金

奨学金は「Keio University Global Fellow 2020」という慶應義塾大学の卒業生に向けた支援をいただく予定です。 海外院に進学することを完全に決めたのが学部4年の9月ごろと遅かったため、他に申し込めたのがJASSOと平和中島財団のみでしたが落ちました(平和中島財団は面接の日程が学会と重なってしまい辞退)。 今年も申し込める奨学金には引き続き応募しています。

反省点

  • 早い段階からいろいろな人(主に教授・海外進学者など)にアドバイスを仰ぐべき

学部に入った頃は自分で何とかしたいと思いがちでしたが、研究などは普通の人は最初から1人で出来るわけがないです。研究室配属前は研究も何も分からない学部生が「海外院にいきたいから研究教えてください!」と言っても失礼かなとか思っていましたが、まずは話を聞いてみるべきだったと思います。忙しくて対応できない教授はいると思いますが、真面目に目指していることが伝われば多くの人が何らかの方法で協力してくれると思います。

僕の場合は、交換留学出発前に指導教員の小林景先生に海外院進学などを相談したところ、たまたま日本に来ていた知り合いの海外大学の研究者の方を紹介していただき、その方に紹介していただいたCMUの研究室にお世話になることができました。そして、CMUでお世話になっていた教授の紹介でUT Austinの教授にもお世話になり、のちにrecommendation letterを書いていただくこともできました。色々な偶然が重なった出会いでしたが、これがなければ合格することは難しかったと感じています。

  • 早い段階から海外に行くための行動に100%舵を切るべき

僕は学部1年の段階で海外に興味はあったのですが、海外院試をするということが遠い目標のように思えて決断しきれませんでした。色々と準備はしていましたが、最終的に決断したのは学部4年時だったので非常に遅かったです。

いま高校生や学部生で海外進学を考えている人であれば、最終的に海外進学を諦める可能性はあるとしても、すぐに行動を始めるべきです。具体的には、英語力とGPAを出来る限り高めることは前提として、理系(特にCS)のトップ校であれば志望研究室とのコンタクト、研究実績、海外インターン経験、海外留学経験などが必要だと思います。これらは、最終的に国内進学したり就職することになっても無駄にならない経験だと思うので、海外に進学したいと思っている人は進学するつもりで行動を始めるべきだと思います。

  • 早く志望校・志望研究室を決めて行動する

私が出願した学校は全て進学難易度は同じぐらいだと思っているので、UT Austinに合格できたのはUT Austinの教授に推薦状を頂けたことが大きいだろうと考えています。 特にPhDへの出願であれば研究室に受け入れてもらうという性質が強いと思うので、志望研究室でインターンなどができれば大きなアドバンテージになるだろうと思います。 公式に募集していなくても連絡したら受け入れてもらえたという例もよく耳にするので、そういった形でコネクションを作るためにも早く志望校・志望研究室を決めるのが重要だと思います。

時系列

高校まで

中学受験で慶應義塾普通部に入学し、内部進学で慶応義塾高等学校に通いました。高校3年の11月ごろに部活を引退してから進路について考える中で、理系で研究をするなら海外留学も視野に入れたいと思い始めました。年末くらいには機械学習と英語の勉強を初めていたと思います。

2016年(学部1年)

内部進学で慶應義塾大学理工学部に入学。まだ院試についてはっきりとは考えていませんでしたが、学部で海外留学をしたいと考えていたのでTOEFL対策をひたすらやっていました。夏期に慶應大学主催のケンブリッジ大学夏期講座に参加しました。

1年の中旬に慶應がカーネギー・メロン大学と交換留学協定があることを知ったと思います。正直、学部1年の頃はCMUのことも良く知らないくらいでしたが、私の専門の機外学習分野も非常に強いということで派遣交換留学制度に出願しました。慶応の交換留学は主に3年生向け(2年生で出願)ということもあり、1年生のときは落選しました。

2017年(学部2年)

5月からデータセクション株式会社で自然言語処理の研究インターンを始めました。2018年8月まで長期に渡りお世話になりました。

派遣交換留学でCMUに留学するためにはTOEFLの点数が結構必要(合計96点、全セクション23点以上)なので大変でした。学部1年のときの92点から102点まであげることができ、派遣交換留学の学内選考を通過してCMUへの留学が内定しました。

2018年(学部3年)

実はCMUが要求している点数にSpeakingが届いていなかったので2月にTOEFLを再度受験して110点を取りました。2018年10月から2019年5月までCMUに留学していました。

2019年(学部4年)

5月

帰国。インターンでの研究とCMUでの研究は残念ながら学会発表できるまでには至らなかったので、学部からPhDに直接出願するのは難しいと考え始めました。

6月

GREを受験してVerbalは152点でした。良くはない点数ですがVerbalは難しすぎて点数を上げるにはかなり勉強が必要であることを認識したので、GREはこの1回しか受けていないです。

9月

東大院に合格してから、本格的に海外院試について考え始めました(遅い)。この頃にはMasterに申し込むことを決めました。アメリカのMasterはコースワーク中心の課程になっていることも多いのですが、僕は研究がしたいので研究ができそうな大学を探すのに苦労しました。

東大院に合格してから海外院向けの奨学金に申し込み始めましたが、既に締切が終わってしまっているものもありました。東大院試で忙しくて調べていなかったのが悪かったです。多くの奨学金は指導教員に推薦状をいただく必要があるので、迷惑をかけないように早く準備を始める必要があります。JASSO、Keio University Global Fellow 2020、平和中島財団に出願しました。

出願先を決めてからrecommendation letterを書いてもらうために指導教員とCMUでお世話になっていた2人の教員に連絡をして快く受け入れていただきました。

10月

卒論に向けてやっていた研究がなんとかひと段落してきて、論文にできる形になりました。Masterとはいえ何も論文がないのは厳しいかもしれないので、preprintでも良いから出そうと思って早めに進めていました。(思い返してみると、意味があったかは微妙です)

10月後半に出願書類を作り始めました。主にStatement of Purposeなどを英語ネイティブの友人にチェックしてもらいました。同時期に論文の校正もお願いしていたので、本当に頭が上がらないです。

11月

卒論に向けた研究をarXivと国際学会の査読に提出しました。このことをresumeに書いて概ね書類が完成したので出願を開始しました。

初めの締め切りが12月2日だったのですが、recommendation letterを書いてくれるはずの海外の教員から11月終わり頃になっても返信がなくてかなり焦っていました。Recommendation letterを頼んだ経験がないので焦って何回もリマインダーを送ってしまいましたが、直前になって期限内に全員に提出していただけたので安心しました。僕の経験上は海外の教員の一部は忙しいこともあり返信をあまりくれなかったりしますが、一応期限までには何とかしてくれます。

12月

卒論の研究の一部の内容がAAAIのワークショップに通りました。もう出願はほぼ終わってしまっていましたが、残り1個のGeorgia Techの書類には追記しました。(これも意味があったかは微妙なところです)

2020年(修士1年)

2月

最後のGeorgia Techの出願を終えました。

3月

合否が出始める。まずETH Zurichの不合格が最初にきたのでかなり落ち込みました。3月20日にUT Austinの合格をもらえたときは本当に安心しました(結果的には唯一の合格通知でしたが・・・)。

4月

UT Austin以外の大学は全て不合格になったので入学準備を開始しました。 入学準備以降については、改めて記事を書きたいと思います。

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